APH(Agile Performance Holarchy)

ご無沙汰しております。Sanaです。

今回は、APH(Agile Performance Holarchy)の研究の研究開発機関であるAgileCxOのJeffとMichaelが、APHの展開で来日され、その一環でTDC社内でプライベートセミナーを実施していただいた際の模様をお伝えします。

講演に際しては、JeffとMichaelとともに活動をされているCMMIのトップコンサルタントであるシステム情報の小林さんも同席していただきました。
(小林さんは、当社がCMMIを取得するにあたって、アプレイザルリーダーを務めていただいた方です。URL

APHとは?


AgileCxO社が実施した200を超えるアジャイルプロジェクトの分析結果を元に、agileリーダーとして必要な⼼構え、行動、環境づくりなどについて、6つのカテゴリと18の要素(Holon)をまとめたものであり、プロセスを定義づけるものではなく、agileプロジェクトを成功に導くための指南書のような位置づけのものです。

■アジャイルリーダー(プロダクトオーナー)として必要な6つのカテゴリ

・Leading ・・・アジャイルリーダーとして、アジャイルに取り組む理由、価値の展開。ビジョンへ向けての変革実施
・Providing ・・・アジャイルリーダーとして、資源や環境の提供
・Envisioning ・・・プロダクトオーナーとして、製品ビジョンの作成と実現
・Crafting ・・・アジャイルリーダーとして、開発・デリバリーの計画と構築の実現
・Affirming ・・・アジャイルリーダーとして、問題と改善点の特定とフィードバックの実施
・Teaming ・・・アジャイルリーダーとして、チーム構築・成長・ガバナンスの実施

詳しくは、本家サイト(URL)をご確認ください。

 

講演


講演は、上記にあげた、APHの生まれた背景、6つのカテゴリの役割を説明いただき、後半は、事前に集めたQ/AにJeffとMichaelが答えるという内容となりました。特にQ/Aセッションにおいては、JeffとMichaelがうなるような質問もでて、時間を延長するぐらい盛り上がりました。

代表的なQA例:
Q:これからウォーターフォールはなくなっていき、アジャイルにシフトしていくと思いますか?
A:アジャイルの割合は増えていくと思われるが、ウォーターフォールはなくならない。目的と要件が決まっているものは、ウォーターフォールのほうが良い。(米国においても、軍事や官公庁系は、ウォーターフォールが主流とのこと)

Q:SIerの立ち位置でお客様にアジャイルを提案するにあたり、顧客に理解を得るためのポイントは?
A:早く失敗できることを理解してもらうこと。時間かけて進めてきたものを終わり間際に失敗と判断するよりは、早めに失敗して軌道修正することで、時間とコストを抑えられる。

所感


APHは、「こうあるべき」という型にはめるものではなく、「心構え」というか、これからの先の見えない時代で、どう無駄を少なくし、成功に導くためのノウハウのようなものと感じました。

また、この6カテゴリのうち、これからの会社/組織/チームで成果を出していくために、「Providing」が特に重要だなと感じました。APHの定義では、真のアジャイルリーダーは、上から命令(彼らの言い方として、Command & Control)をするのではなく、チームメンバーが最大限成果を出すために必要な環境や資源を提供する/支えるという、逆の考え方で動くというところです。

当社のPJの多くは、組織/チームはピラミッド型で、進め方としては、まだまだウォーターフォールでの開発が多くを占めているので、Command & Controlが多いのが実情ですが、これから先の見えにくい時代(ビジネスの速さ、複雑さ、働き方)に合わせて、スタイルを変えていく必要があるなと感じました。

IMG_5307

最後に


JeffとMichaelは、今回初来日ということで、日本の文化をいくつか体験されていました。面白いことに、アジャイルでよく使われるカンバン型の管理ツールのカードに、すし、てんぷら、カラオケ、日本庭園等のカードを作り、そのカードでしっかりと行動管理されておりました(笑)

そんな少しお茶目な二人が本を出版されていますので、ご紹介します。

jeffがAPHの考え方を記載した本です。6つのカテゴリと18の要素の概念と、実践ノウハウが記載されています。
Great Big Agile: An OS for Agile Leaders(Amazon)

MichaelもCMMIのプロとして、開発物の品質は問われるが、開発するにあたってのプロセスも品質を高めることが重要だという点にフォーカスした本を出版されています。
Return On Process (ROP): Getting Real Performance Results from Process Improvement(Amazon)

 

Sana について

TDCソフト株式会社 ビジネスイノベーション本部所属。 社内発の事業創造のための風土醸成とベンチャー企業との共創を求めて活動しております。