前回は、育児参加経験を通して思ったことをお話しました。
今回は、サイドストーリーです。
私が勤務地変更になった際の子どもとの出来事について書こうと思います。
前のブログにも書いたとおり、私は保育園への送り出しを毎朝担当しております。
妻が、先に出発するため1人で2人の子を自転車に乗せ自宅→保育園→最寄り駅→勤務地 という毎日です。
以前は、最寄り駅~勤務地が乗り換えなしで40分という近い場所にあったので保育園の通常保育開始時刻後に、送り出すことができました。
ある年の年度の変わり目に、異動があり勤務地も変わることになりました。
最寄り駅~勤務地が乗り換え4回で75分という遠さ。
自宅出発を35分繰り上げ、保育園の通常保育開始時刻より前(延長保育時間枠)に送り出すようになります。
※延長保育時間枠について
年齢別に保育されるのではなく、(1歳未満を除く)全年齢同じ部屋・場所で過ごす。
保育士の数も通常時に比べれば少ない。保育園によっては延長料金が発生する。
ここで問題になったのは、この「時間変更」を子どもに理解させることでした。
ただでさえ、朝ぐずぐずしている子どもたちなのにあと35分早く起きて、着替えて、ご飯を食べて、支度をしてくれというのは、すんなりと納得してくれなかったのです。
特に抵抗が大きかったのは上の子(お兄ちゃん)でした。
「ただでさえ、行きたくない保育園に、なぜもっと早く行き長く滞在しないといけないのか!」激しく怒っていました。
詳しくは書けませんが、保育園に「とても行きたくない」のです。
小学生になった今でも、妹のお迎え等で保育園に同行させるときは絶対に保育園の門をくぐろうとはしません。門の前で待機しています。
(それほど嫌な場所だったということです)
(今でも、あの時は本当に頑張ってくれたと感謝しています)
妻から「あなたの会社都合で、勤務地変更になったのだからあなたがお兄ちゃんを説得させなさい」と言われました。
確かにその通りでした。子どもの都合など関係なく、職場は変わるのです。
出勤に75分を要する説明が必要と考えました。
「今度の日曜日、とうちゃんと次の勤務地(都内の駅名)まで電車で行ってみないか」と
提案してみました。(我が家では「とうちゃん」という呼称でやってます)
私:「今までは、鉄道会社Aの○○線だけで、会社に着いたのだけれど次の勤務地は○○線に相互乗り入れする鉄道会社Bの△△線と◇◇線と□□線☆☆線を使わないと会社に行けないんだ。最寄り駅は急行が停車しないから、合計4回乗り換えする。日曜日なら、朝の時間でも混雑は少ないはずだから、朝早くから行こう」
お兄ちゃんは鉄道やプラレールが大好きです。いままで最寄の鉄道会社AとJR線しか乗ったことがなかったので鉄道会社B(全9路線)は、未知の世界でした。
子:「乗りたい。けど、朝早いのは嫌だ!」と半分OKを貰いました。
ということで、次の日曜日は(通勤時間帯とはいかなかったが)実際の通勤経路をお兄ちゃんとともに行ってみることになりました。
電車は途中で地下に入ったり、一旦地上に出て駅がありスグ地下に戻り・・・と興味津々な様子でした。
勤務地最寄り駅で降り、ビルまで歩きました。
高速道路でもないのに上下6車線の道路も珍しく道路横断(信号待ちと、道幅が広い)に時間がかかり、少しイライラしていましたが無事、ビルの前まで着きました。
私:「次の勤務地はここだ。(たどり着くのに)長い時間かかるだろう。」
子:「いっぱい電車に乗れていいね、信号が長いのはいやだけど。」
私:「朝の、☆☆線は超満員電車だから乗り込むのが大変そうなんだよ。」
子:「他の路線じゃこれないの?」
私:「いけるけど、この経路が一番時間がかからないんだ。」
子:「・・・。」
子:「お腹すいた。何か食べたい」
私:「マクドナルドがいいかな。探してみよう」
子:「いいよ。」
しかし、オフィス街にマクドナルドはありませんでした。
子:「会社ばっかりあるのに、何でマクドナルドがないんだよ!」
私:「困ったねー。喫茶店でもいい?」
子:「いやだ。コーヒー飲めないし。」
私:「ケーキもあるよ。コーヒーを飲む必要はないよ。」
・・・というやり取りの末、ドトールでチョコレートケーキを食べることで落ち着きました。
手と顔じゅうを黒くしながら、チョコレートケーキを黙々と食べ、食べ終えて
子:「わかったよ。朝早くてもいいよ。」
私:「ありがとう。朝早く起きれる?」
子:「それは分からない(笑)」
私:「なるべく頑張って。頼むよ。」
子:「うん。」
この経験を通して、当たり前のように「会社へ向かい」そして「帰宅する」ことが、子どもにとっては保育園でバイバイしたあとの世界は「ブラックボックス」であるのだと気づかされました。
実際に職場を見せることは出来なかったけれど、ビルばかりの土地で何か”仕事”をしているというイメージが浮かんだかなと思っています。
※用語説明「ブラックボックス」・・・コンピュータプログラムにおいて内部がどうなっているか不明であるが一定の入力値に対し一意的な値が返却されるのこと。(の例え)
子:「とうちゃんの仕事はどんなことしているの?」
私:「うーん、難しいなぁ。コンピュータを調整して人の仕事を助ける仕事かな。」
子:「仕事で仕事を助けるの?面白いね。」
私:「そうだね。いいかぁ朝がんばってくれ。お願いします。」
子:「帰りは別の路線で帰りたい。なに線があるの?」
と、こんなふうに困難を乗り越えました。
今回は、こんなところです。