信頼なるNPSを活用したバリュー・マネジメント

~ 顧客の期待を超えた「感動体験」 ~
顧客満足度は、「過去」の指標であり、「将来」を予測できない。
顧客満足度は、「必要条件」であるが、「差別化」要素にはならない。
顧客満足度は、「自己満足」に終わり、肝心な「収益性」には連動しない。
顧客期待、知覚品質、知覚価値、顧客満足・・・
技術発展によりアンコントローラブルな情報が増す中、顧客との関係構築に向け、このモデルを見つめ直したロイヤルティ・マーケティングに注目が集まる。
1) NPSが伝えるロイヤルティのデザイン
企業利益を高めるCS戦略(カスタマー・ロイヤルティ)。
NPS(ネットプロモータースコア)を使って、「伝道者」「傭兵」「人質」「テロリスト」を見極め、顧客の生涯価値を最大化せよ。
2) 信頼なるNPSを活用したバリュー・マネジメント
NPS(ネットプロモータースコア)は、企業のKPI(重要業績評価指標)になりうるのか。
顧客重視の取り組みとして、NPSを経営と一体化させ、実施すべきことを見極め、手を打つ。

 


NPSの信頼性向上に向けた組織的管理

NPS(Net Promoter Score)のスコアを試しに測ってみる。
それは、それほど難しいことではない。

1つのシンプルな質問に基づいているのがNPSの特徴でもある。
ただし、企業のKPIとして活用していくためには、まずは信頼に足る指標であると証明すること。

NPSが業績と相関し、客観的証拠をもったそのスコアを見た人は考えることを余儀なくされる。

信頼性があり、首尾一貫した調査方法を築き、正確な測定から始める必要がある。
なぜなら、わずかな条件の差でNPSのスコアが変わってしまうからである。

経営指標としての信頼性を保証できる情報の取得方法、標本数、回答率などが必要となってくる。

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例えば回答率は、B2Cで30%、B2Bでは60%を目標とすべきだと言われている。
拠点・店舗別評価に使う場合は、顧客層別に回答率に大きな差がないかを確認する必要がある。

顧客別のNPSと顧客内シェアに相関性が見られるが、低シェア顧客からの回答率は全体に比べ低い傾向にある。
こうした場合、NPSを比較する上では、全体ではなく顧客内シェア別のNPSを見るか、顧客層別の回答率を揃えておく工夫が必要だ。

また、数字そのものは操作の余地がある。
NPSのスコアが良いにもかかわらず、他社よりも業績が低下している企業は、数値取得、測定、結果報告の一連の流れを検証してみるべきかもしれない。
もちろん連動性が必ずしもあるとは言えないが。

NPSをKPIとして使用する企業は、まずは数値を取りながら業績に連動する客観的な指標として信頼性を高めていく。不正を許さず回答者の偏りを排除できるような調査をする上でのプロセス管理、そしてガイドラインの確立が欠かせない。

 

納得するNPSの価値訴求

NPSをどのように浸透させ、NPSのスコア向上の必要性をどう訴えるか。
これは企業の担当者にとって最も大きな関心事のひとつである。

NPSのスコアを上げることが、具体的にどのようなメリットがあるか、具体的な数字で表現し説得することである。

NPSの財務効果:

より沢山買う × より長く買う × より人に薦める

 

NPSを測定して顧客を推奨者、中立者、批判者に分類し、それぞれがどのような行動を取るかを分析することがスタートとなる。
推奨・批判理由を知るためには、フリーコメントの分析に加え追加インタビューなどと組み合わせて深掘りする。

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批判者を1人減らすこと、推奨者を1人増やすことがいくらのバリューを生むのか。
これを明らかにすることが第一優先。
これにより投資を伴った施策の意思決定が可能となる。

批判者を減らすことが大事なのか、最初から推奨者を増やすことに取り組むべきか。
優先順位付けも可能となる。

 

効果的なNPSの導入による戦略的自由度

NPSの普及の背景にはいくつかの理由があるが、何より推奨度をスコアで表すためNPSは直観的でわかりやすい。

CS戦略(カスタマー・ロイヤルティ)の顧客重視の取り組みとして、B2C企業だけではなく、B2B企業や非営利団体にもNPSの導入が高まっている。

<NPS普及の背景>
財務指標との連動性
・カスタマー・ジャーニーとも連動
・支持、離反する恐れのある顧客層を特定
KPIとして実用的
・業績の先行指標
継続的に測定可能
・シンプルで答えやすい質問
・測定方法が標準化されリアルタイムに処理・分析
比較が容易
・共通する一つの質問で調査

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CS戦略でのNPS分析では、顧客の期待を超えることが推奨を生む重要な要素であるため、顧客の期待値がどの程度か把握することは重要である。

経営として、顧客の推奨・批判の原因を構造的に確認し、重要なカスタマー・エクスペリエンスに対して優先的な投資を行い、それが具体的にどうあるべきかを明確に定義していく。

その過程で、NPSを導入する企業は5つ戦略に取り組んでいく。

傾聴戦略
・推奨者、中立者、批判者に分類し、それぞれの顧客について理解を深める
会話戦略
・ターゲット層を決め、自社のメッセージを広める
活性化戦略
・推奨者を見つけ、アンバサダーとしての影響力を最大化する
支援戦略
・それぞれの顧客が助け合えるようにする
統合戦略
・顧客をビジネスプロセスに統合する

以上のような取り組みを継続的なプログラムとして進化させていけば、NPSは向上し結果として業績の向上も達成できる。

 

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*Net Promoter Score® および NPS® は、Bain & Company、Fred Reichheld、Satmetrix Systems の登録商標です。