NPSが伝えるロイヤルティのデザイン

~ 顧客の期待を超えた「感動体験」 ~
顧客満足度は、「過去」の指標であり、「将来」を予測できない。
顧客満足度は、「必要条件」であるが、「差別化」要素にはならない。
顧客満足度は、「自己満足」に終わり、肝心な「収益性」には連動しない。
顧客期待、知覚品質、知覚価値、顧客満足・・・
技術発展によりアンコントローラブルな情報が増す中、顧客との関係構築に向け、このモデルを見つめ直したロイヤルティ・マーケティングに注目が集まる。
 1) NPSが伝えるロイヤルティのデザイン
企業利益を高めるCS戦略(カスタマー・ロイヤルティ)。
NPS(ネットプロモータースコア)を使って、「伝道者」「傭兵」「人質」「テロリスト」を見極め、顧客の生涯価値を最大化せよ。

 


顧客満足度が高いのに競合に勝てない

予約したシートに座り、時間通りに飛行機が飛び立ち、時間通りに到着する。そして、自分の荷物がきちんと手元に届く。
さて、あなたの満足度はどの程度か。

・従業員の行動に不満が出る
・仕様書通りにものがうごかない
顧客は事前期待が外れたと感じたとき、不満やロイヤルティの低下につながる。

従来の顧客満足度調査では、最も評価の低い不満・不安を見つけてこれを改善していくことが主流であった。
しかしながら、カスタマー・ジャーニーにあたりカスタマー・エクスペリエンスを分析し、顧客満足度をただ高めるだけでは「新規顧客の獲得」にはつながらず、推奨者にもならず「リピート率の向上」にも必ずしもつながらない。

顧客満足度の指標は、以下のように移ってきている。

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1、全体的な満足度
    ・品質
    ・経験
    ・サービス
    ・費用 など
2、継続的な購入・利用
3、推奨

「推奨」も従来の5段階のリッカート尺度から、NPS(Net Promoter Score)を使うことが増えてきた。

2003年、ハーバード・ビジネス・レビューにNPSが紹介されてから、企業が測るものは顧客「満足度」から「ロイヤルティ」へシフトし、企業のマーケティング担当者としては必須の知識となった。
なぜなら、企業の最大の関心事である「収益性と成長性」との関連は、顧客満足度では十分に説明ができず、変わってNPSとの相関性が高いことが実証研究で明らかになったからである。

また、ソーシャルメディアなどの消費者による情報発信や企業の評判の伝播が重要視され、企業のマーケティング活動は、一方的なメッセージ発信から、顧客との対話の中から共感を呼び、ロイヤルティを高めファンとして醸成していく方向にシフトしている。

 

NPSはシンプルであり複雑である

NPS(Net Promoter Score)はロイヤルティ・マーケティングの一つで、F.ライクヘルドが提唱した、顧客との関係性『カスタマー・ロイヤルティ』を測る指標である。

あるブランドやサービスを人に薦めたいと思う正味の割合である。
1つのシンプルな質問に基づいており、顧客発のメトリクスについて考えさせる。

質問:
「あなたは友人や同僚に、○○○(ブランドやサービスの名前)をどの程度薦めたいと思いますか?」

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0(薦めない)~10(薦める)までの11段階のどこにあてはまるかを答えてもらう。
11段階の結果、9~10と答えた集団を推奨者(Promoter)、7~8を中立者(Passive)、0~6を批判者(Detractor)の3つに分類。

NPSは、「(推奨者)-(批判者)」の割合の差となる。

但し、これはアメリカで実験・考案された指標であるため、国・文化・習慣はもとより、業界・回答方法・回答者により再考を要する。
EU諸国では極端な推奨意向をつける人が少ないため、NPSは推奨者を8~10、批判者を0~5として計算している。平均的なアメリカ企業のNPSは10%~20%に対し、日本の場合、高い評価をつける人が少ないことから、NPSのスコアがマイナスになることが多い。

 

NPSでライフタイムバリューを向上させる

顧客満足度が品質評価・価値であるのに対し、NPSはロイヤルティの強さの指標である。

「批判者」はそれを批判し、それを購入あるいは使用しないように勧める人達。
「推奨者」は高くても購入し、好意的な口コミをしてくれる可能性の高い人達。

消費者の多くが情報を集めるのにインターネットを利用するようになった昨今、コミュニケーションはAISASモデルで急速に伝播することを考えれば、推奨者をマキシマイズし、批判者をミニマイズすると言うNPSの考え方が一層大事になってきている。

法則によると、推奨度が高い人の声よりも低い人の声のほうが影響力が強いことを考えると、NPSで言うところの批判者の不満の要因を探り、適切な改善策をとることで影響力を下げることが重要になってくる。

これは、従来の顧客満足度調査と同じ概念であり、今後も重視され続けるだろう。

ただし、不満が解消されてしまえば、それ以上に向上させたところで満足の向上につながらない要因も存在するため注意を要する。

そのため、NPS自体は単にスコアを算出して終わるのではなく、最終的に企業にとってリスクとなる不満要因を解決することで不満を持つ顧客の声を減らし、期待を超える驚きのサービスを提供することで推奨する声を広めていって新しい顧客を集めるサイクルを作る一連の「仕組み化」を構築していく。

NPSの指標を用い、この「仕組み化」を行うために、カスタマー・エクスペリエンスを強化することで「収益性と成長性」への貢献が想定される。

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・収益が上がる
   - ロイヤルティの維持
   - マージン率
   - 口コミ効果
・コストが下がる
   - 製品保証関連費用
   - 解決コスト
   - マーケティング経費
   - PRコスト
   - 顧客対応の効率化

簡単に言うと、戦略的そして財務的な成功をもたらすのだ。

 

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*Net Promoter Score® および NPS® は、Bain & Company、Fred Reichheld、Satmetrix Systems の登録商標です。