「介護座談会」の方向性が見えてきた。
対象者は「介護に直面する前の社員」、
プログラムの1つは専門講師を招いての「仕事と介護の両立基礎セミナー」。
で、プログラムの2つ目は、やはり社員の体験談が欲しい。
座学だけじゃなく、生きた話があればより深く伝わるだろう。
だけど、体験談を話してくれる人をどうやって探す?
「介護休暇」等の制度を利用した履歴から調べる?
いやいや、機微な情報の流用はダメだよね。
全社員向けアンケートから拾ってくる?
いやいや、これも情報の流用になるし、そもそも無記名アンケートだ。
結局、口コミしかないか。
人前で話してくれそうで、介護経験をオープンにしている人で、3~4パターン欲しいな。
なんて、そんな都合良く見つかるわけもない。
2人までは最初から当てにしていた方に引き受けていただいた。
さて、あと2人くらい・・・
人伝にどうやら最近介護をしているらしい方を発見。
「自分の体験で役に立つかなぁ。」と遠慮気味ながらも引き受けていただけた。
ありがたい。
あともう1人・・・
先日の制度説明会で介護制度について質問された方がいた。
まさに介護真っ只中でキツイ状態だと言っていた。
そんな方に頼んで良いものだろうか?
きっと仕事と介護だけでも手一杯。体験談なんて話しているゆとりは無いのでは?
ダメ元で恐々電話をしてみた。
「お忙しいところ申し訳ないんだけど、介護座談会で経験談を話してくれる人を探していて・・・」
「いいですよ。」あれ?アッサリOK?
「いや。同じ思いで悩んでいる人に、少しでも役立ててもらえるなら。」
なんて、ありがたい!
結局、プログラム2つ目の体験談は4名の方にお話を伺うことができて大好評。
後日、そのうちのお1人、Y部長にインタビューをしてみた。
Q:体験談を引き受けた際、一番伝えたいと思ったことは何ですか?
A:「急に来る」ってこと。
私の場合、実父の脳梗塞だったんだけど、とにかく急だった。そして、
「畳み掛けるように来る」ってことも結局、妻と私、両家の両親が同世代ってこと。
4人とも来るってこと。それが意識していなかったところ。
Q:差支えの無い範囲で具体的なことを教えてください。
A:「要介護状態」といっても色々ある。
精神や知能、つまり認知症等が一番大変。
私のところは4人ほぼ同時に「要介護状態」になって、1人が認知症だった。
車いすの方が介護認定レベルは高いけど、家の改造等をすれば一緒に暮らしていける。
認知症は距離をとったりしないと、看る方の精神が壊れる。
Q:介護は先の見通しが立てにくい分、看る人は大変なのでは?
A:今、2年目に入っている。長いな・・・。
まだまだ続く見通しだけど、深く考えない。
どうこう動いてもどうにもならない。
Q:それは、ある程度介護の体制を整えた後は、良策が無いということですか?
A:そう。結局、要介護者の状態次第だから。
今は小康状態。ぶっちゃけ、妻がいてくれて助かっている。
パートを続けながら、がんばってくれている。
女性特性のきめ細やかさや優しさは認知症にも響く。
自分が対応しようとすると暴力的になったり反発したりされてしまう。
Q:何か、会社に対する要望はありますか?
A:今のところ会社に求めるものは無い。
意外とないよ。介護保険制度と有給休暇でなんとかなる。
介護休業の制度も介護の体制が整うまでに使う立て付けでしょ?
「たまに介護絡みで休むけどよろしく。」ってことぐらい。
私の場合は横浜と千葉なので、遠方の場合は分からないが。
「要介護者」への思い入れ、(精神的な)距離が近くて放って置けない場合は
介護離職と言うことになるのかもしれない。
その場合、他人が何を言っても無駄だろう。
どこか冷めた眼がないと、割り切ることはできないだろう。
Q:それは、元気なうちに思い残すことが無いようにすることが大切ということでしょうか?
A:そうだね。
やるべきことをやっていない思いが残っていると割り切れないだろうね。
満足しておくことが大事だね。
Y部長、ありがとうございました!