インターンシップとは

従来、インターンシップとは「職業体験」という意味合いが強く、1~2週間かけて企業で職場体験をすることが一般的でした。

しかし、企業にとってインターンシップの実施コストが掛かりすぎる面、参加した学生が必ず選考に進むわけではない点、1週間程度で効果の高い体験させられるプログラムが作れないなど、全ての企業がインターンシップの受け入れ態勢を整えられないのが現実になっています。

そのような中で、別の動きが出てきています。

それが、2016年4月入社向け新卒採用から、就職活動開始時期が12月から翌年3月に後ろ倒しになったことです。就職活動の期間が短くなったことは学生にとって一長一短あるでしょうが、企業にとっても一長一短があります。

その短所をリカバリーするために白羽の矢が立ったのがインターンシップであり、1dayインターンシップなのです。これを実施することで、就職活動開始の3月より前に母集団形成ができるのです。

よって、やっている内容はさておき、大きな違いは主役です。

本来は学生のためのインターンシップという要素が強かったが、現在は企業のための1dayインターンシップというケースが多くなってきています。(学生のための要素がなくなったわけではありません!)

さらに現在は、1dayインターンシップに参加したほうが、就職に有利というイメージができ始めているのも現実です。実際、当社においても全ての要素において有利というわけではありませんが、どちらかというと参加したほうが有利となっているのが現状になっています。

売り手市場である現在の新卒採用市場において、企業がいたちごっこのように、インターンシップという概念を都合の良いようにとらえ、売り手市場のなかで勝ち組になろうとしているのです。

ちなみに、主流になりつつある1dayインターンシップを超える施策はなく、私自身も採用担当者として、このいたちごっこに交ざり、その中で勝ち組になろうとしているのも事実です。

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○1dayインターンシップ≠会社説明

「インターンシップに参加しても企業説明ばかり」などと否定的なWebの記事や、学校のコメントが多くなっています。では実際の学生の声はどうなのでしょうか?

何人かの学生に聞いてみると確かに
「3時間のインターンシップで業界説明と会社説明だけでした。」
「会社説明の後に先輩社員と懇談して終わりました。」
などという意見を耳にしました。

もしそれが事実であるのならば、それは1dayインターンシップですらなく、ただの事前会社説明会でしかないと私も思います。

よって、私が企画したインターンシップは企業説明を殆どしません。殆どというのは、さすがにゼロだと「どんな会社に行ったんだっけ?」となってしまいますので、自己紹介程度に冒頭15分だけ説明させていただいています。

○実際に何をやっているのか?

IT企業なので、一般的にはプログラミングだったり、スマートフォンなどで新たなサービスを考えてみたりというのも、アリだと思います。しかし、それをやってしまうとプログラミング経験者向けの内容になってしまい、プログラミング未経験者にはハードルが高くなってしまいます。

プログラミング未経験者にプログラミングを教えるコンテンツでもよいのですが、1日でできるレベルまでやっても、プログラミングの面白さや本質を得られない状態で終わってしまう恐れがあります。よって、現在の当社のコンテンツではプログラミングは一切触れていません。

それでは、「職業体験」にならないのではないかと思われてしまうかもしれないが、そもそも、当社で必要なスキルはプログラミングだけではないからです。

もっというのならば、プログラミングよりも大事なことがあると考えています。
よって、コンテンツは以下のようになっています。
・業界説明
・就職活動講座
・IT業界で必要なスキル(プログラミング以外)
・OBOGへのQA会

○会社説明せずに実施する意味があるのか?

企業説明はしていませんが、コストをかけている以上、間接的に企業PRをしています。それはなるべく学生の立場に立ったコンテンツにしているということであり、「感じる」「考える」「気づく」などを与えることです。

学生自身が「感じる」「考える」「気づく」という体験をしたことによって、少しでも当社のことを覚えてもらい、興味を持ってもらえるのではないかということです。

もう少しかみ砕くと、「理解」と「納得」の違いともいえます。「理解」とは、こちらが伝えたいことを学生が分かっただけなのです。これに対して「納得」とは、こちらが伝えたいことを分かるだけではなく、その内容に同意や共感をしていなければなりません。

よって、学生に対してこちらが伝えたいことを理解してもらうだけでは次(選考に進む)に繋がらず、納得してもらい次に繋げていかなければ、効果は出ないと考えます。

話しが若干それましたが、当社の1dayインターンシップのコンテンツだけを見ると普通ですが、決してIT業界や会社の理解をさせるだけのようなことは行っていません。IT業界や就職活動について、「納得」してもらえるような伝え方で行っています。「納得」というお土産をいっぱい持って帰ってもらうことで、当社のことを思い出してもらうことが、間接的な企業PRに繋がっているのです。

当たり前のように言っていますが、この考え方に気づくことと、それをコンテンツにするのに1年以上考え続けていました。(毎日寝ずに考えていたわけではないですけど…)

改めて、「納得」とは…学生が、
「あっ!」
「なるほど!」
「そういうことなの!」
「すごい!」
なーんて感じ取ってくれたのが「納得」です。

よって、インターンシップでは「納得」をいっぱい与え、お土産として持って帰ってもらっています。現在もその「納得」の精度を上げ、お土産を増やすために試行錯誤しています。

nobunchu51 について

人事→教育→採用と、16年間人事畑で仕事をしてきました。 その中で感じたこと、成功事例、失敗事例などをお伝えできればと思います。